
「今日は、もしかしたら100年後、200年後、300年後の人々が『あの日が歴史的な日だった』と記憶する日になるかもしれない。我々は人類史上初めて、ロボットに感情を与えることに挑戦する」――ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、ロボット事業への参入について、このように思いを語った。
同社は2015年2月に家庭用の感情認識ロボット「Pepper(ペッパー)」を一般販売する。税別価格は19万8000円と破格だが、「もちろん赤字。当面は利益は度外視し、1人でも多くの家庭で買えるようにしたい」(孫氏)と、まずは普及を優先させる。なお、Pepperの料金プランやソフトバンクユーザー以外への販売といった詳細については今後検討するとしている。
これに先駆けて、6月6日よりソフトバンクショップの表参道店と銀座店に、接客用の“スタッフ”としてPepperを設置。来店者とフリートークをしたり、30分に1度ダンスを踊ったりする。今後は順次、店舗数を増やしていく予定だ。
鉄腕アトムは「涙を流せない」
Pepperは、周囲の状況に合わせて自ら行動する“感情”を持った人型ロボット。声を発している方向が分かる音声認識技術や、相手の表情と声のトーンを分析して感情を推定する感情認識機能、人に近い滑らかな動きをする関節技術などを備えている。同日の発表会では、孫氏とジョークを交えた流ちょうな会話をしたり、オリジナルのラップを披露したりしていた。
ただし、これらはあくまで事前に設定されたアプリプログラムによる動作で、実際にフリートークで会話が成立する割合は現時点では7割程度だという。今後は一般販売に向けて、人々との日々のコミュニケーションを通じた学習機能も実装する予定だ。
また、約12時間の長時間稼働を可能にするため、あえて2足歩行ではなくホイール型にした。すでに2足歩行の技術も開発しており、バッテリ持続時間が向上すれば次期モデルでは2足歩行になる可能性もあるとしている。開発時のコードネームは「太郎」だったが、世界展開を見据えてPepperにした。高さは約120cmで、重量は約28kg。
感情認識の精度は、Pepperに搭載された「感情エンジン」、そして「クラウドAI」によって向上していく。たとえば、相手から笑顔でお礼を言われると、感情エンジンが良いことだと認識し、その感情を数値化して学習する。これは悪いことでも同様だ。また、家庭や店舗などすべてのPepperのデータをネット上に蓄積するクラウドAIによって、加速度的に進化するという。
さらに、家族の習慣などを学習する「プライベートAI」も備える。相手の表情や声のトーンから、感情に大きな振れ幅があった際には重点的に記録し、逆に普段と変わらない感情だった際には簡易的に記録する。これによって、たとえば子どもがいる家庭なら本を読んであやし、母親に「絵本をみてたくさん笑った」といった感情の大きな揺れを報告してくれるという。
ロボット開発に乗り出したきっかけについて孫氏は、「子どもの頃、胸を踊らせながら学校から慌てて見に帰ったのが鉄腕アトムのアニメ。空を飛んで百万馬力で悪者をやっつけるアトムだが、嬉しい、悲しいといった感情が分からず、涙を流せないという話があった。子どもなりにそれは可愛そうだなと思い、いつか自分たちが大人になった時に、ロボットがそういうことを理解できるようになればいいと漠然と考えていた」と思いを明かす。
1949年に登場してから65年間、コンピュータは人々がロジカルに考えたり、情報を整理するための“左脳”の役割を担ってきたが、いずれは感情や創造性を持った“右脳”の役割も果たすようになると予想していたと孫氏は話す。「Pepperはあくまでもその第一歩だが、我々のビジョンは“愛”を持ったロボットを作ること。感情を持った、心を持ったロボットを作りたい。そのためには人の感情を理解するところから始めるべきだ」(孫氏)。
将来的には人々を楽しませるだけでなく、自ら救助活動をしたり、高齢者を介護したりする“社会貢献活動”にもつなげていきたいとした。「人間の叡智では今まで不可能とされてきたような大きな自然災害やウィルスにも対応できるようになるかもしれない。我々は人々の役に立ち、笑顔が見たい。これから先の長い挑戦になるが頑張りたい」(孫氏)。
仏ロボット会社と共同開発--SDKも提供へ
ロボット事業の参入に向けて、ソフトバンクは2012年に自律型ロボットを生産する仏ALDEBARAN Roboticsに出資、約2年間かけて共同でPepperを作り上げた。量産にあたっては、iPhoneやiPadを製造している台湾のFoxconnをパートナーに選んだ。
また6月5日に、感情技術を研究する新会社cocoro SB(ココロエスビー)を設立したほか、吉本興業グループのよしもとロボット研究所の協力により、お笑いやダンスなど、さまざまなエンターテインメントで人々を楽しませる機能も搭載した。
さらに、世界中の開発者がPepper向けの拡張機能を開発できるソフトウェア開発キット(SDK)も提供する。技術仕様や開発方法を紹介するテックイベントを9月に東京で開催する予定だという。
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[原作・横山了一 作画・加藤マユミ,eBook USER]
AMDがCOMPUTEX TAIPEI 2014において、開発コードkaveri(カヴェリ)で知られるAPU(GPU統合型CPU)のモバイル版9モデルを発表しました。
AMDがモバイル向けKaveri APUを発表、高性能なFXモデルも。なぜか成層圏からの落下動画公開
搭載モデルの発表などはまだですが、AMDは「エイサー、ASUS、デル、HP、レノボ、Samsung、東芝などから、新型APUを搭載したノートPCおよびデスクトップPCが発表されます」とアナウンスしています。
Kaveriの特徴は、ソフトウェア開発者がCPUとGPUを縦断的に使える設計HSAへの対応や、インテル製CPUと比べて強力なGPUを搭載する点。今回のモバイル版でも、基本設計は1月に発売されたデスクトップ版と同一です。機能的な詳細はデスクトップ版の解説記事を参照ください。
注目はブランド。従来のモバイル向けAPUやデスクトップ版Kaveriで使われているA10、A8、A6といったブランドに加わり、従来はデスクトップ向け高性能CPUだけだったAMD FXが追加されたため。今後はモバイル向けでも、高性能な製品はFXが使われます(が、デスクトップ版と中身はまるで違うため、混乱しないように留意が必要です)。
また大企業などが導入する業務用PC向けモデルとしては「PRO」ブランドも追加。同一仕様のPCを長期に渡って大量導入する必要があるユーザーのため、最大24か月間は同一仕様での提供を保証するシリーズです。実際のシリーズ名はA10 PROやA8 PROとなります。
さて、今回発表されたこれらKaveriベースモデル、AMDの呼び方では「2014 AMD PERFORMANCE MOBILE APUs」は、先述のように基本的な設計はデスクトップ版と同一であるものの、モバイル向けとして発熱と消費電力を抑えるべく動作クロックやGPUコア数などを抑えています。
実際のTDP(発熱と消費電力の目安)値は、35Wと19W、そしてPROシリーズ1モデルのみに設定された17Wの3種類。前者が比較的大型のモデル用、後者2つはいわゆるUltrabookクラスの薄型ノート用です。
今回AMDは、19W版の2モデルでいくつかのベンチマークも公開しています。
中間モデルとなるA10-7300は、仮想敵がSurface Pro 2などに搭載されたインテルのCore i5-4200U。総合ベンチマークのPCMark 8ではほぼ同等、3Dグラフィックスベンチマークの3DMarkでは50%の性能向上、OpenCLベンチマークであるBasemark CLでは20%の性能向上をアピールします。
19W版の最高速モデルFX-7500は、仮想敵がCore i7-4500U。こちらの比較では、PCMark08はほぼ同等、3DMarkでも50%の性能向上。そしてBasemarkCLだけはなぜか性能伸び率が高く、50%の性能向上としています。
また自社製品との比較でも、大まかではありますがワットパフォーマンス(1Wあたりの性能指標)の目安を紹介。前世代製品と比較して、グラフィックスではワットパフォーマンスを最大40%向上、システム演算性能でのワットパフォーマンスは前世代製品から最大30%改善と公表しています。
さて、普通の新CPU発表記事でしたらこのあたりで終わるところですが、ある意味で本題はここから。
今回AMDはモバイル版Kaveriの発表を記念し、「AMD's Kaveri Launch at the Edge of Space」と称して、無人のヘリウム気球にAPUを載せ、高度3万6240mまで浮かべてから落とした動画を公開しています。
どことなく、レッドブルとGoProがコラボした成層圏からの自由落下動画(こちらは無人ではなく、フェリックス・バウムガートナー氏が挑んでいます)を思い起こさせる企画ですが、「モバイルはわかるとしても、なぜ成層圏?」「気球を浮かべるのに宇宙服っぽい格好なのはどうして?」という疑問にはじまり、後半の落下シーンでひたすら画面中央に映っているA10 APU(おそらくモバイル版Kaveriの実物と思われます)など、見ているうちにじわじわとツッコミ心が刺激される構成です。
あまつさえ性能や特徴に関する紹介は一切ないという、ある意味もの凄い割り切り。全体としてのツッコマビリティ(ツッコミ可能度)は、日本でのプロモーションサイトで一瞬発見されたAPUはすごく強いにも通じるところがあります。
?ただし、特徴をアピールする動画は別途ありますので、Kaveri自体に興味ある方はぜひこちらもどうぞ。
Kaveriはデスクトップ版が自作PC派の間で評判となり、パーツショップなどではAMD久々のヒットとの声も聞かれるほど売れ行きとなりました。ぜひともモバイル版もこの好調を維持し、ノートPCの高性能化とコストパフォーマンス向上への貢献をしてほしいと期待します。