
【モスクワ=佐々木正明、ワシントン=加納宏幸】ウクライナ東部ルガンスクの空港付近で14日未明、同国空軍の大型輸送機イリューシン76が、現地の親ロシア派武装勢力に撃墜された。ウクライナ国防省によると、搭乗していた兵士ら49人全員が死亡したという。7日に就任したポロシェンコ大統領は東部の混乱収束に向け、14日までの停戦を目指し調整していたが失敗。国境付近の緊張が再び高まる可能性がある。
これまでの東部の戦闘で一度の攻撃による死者としては最悪。東部ルガンスク州で抵抗を続ける親露派武装勢力幹部は同日、ロシア通信に対し、「ロケット砲で輸送機を撃ち落とした」と述べた。イリューシン76は全長約50メートルの大型輸送機で、兵員や装備、弾薬、食料を積載していた。
5月以降、ウクライナ軍のヘリコプターが各地で撃墜されるなどしており、武装勢力の戦闘能力が向上していることがうかがえる。
露側による武器供与が疑われる中、米国務省のハーフ副報道官は13日の記者会見で、ロシアから戦車3両などが国境を越えてウクライナ東部に侵入した問題をめぐり、過去3日間で3両のT64戦車、数両の自走多連装ロケット砲など軍用車両が越境したと明らかにした。ハーフ氏はロシアによる関与を強調して「受け入れられない」とした上で、「ロシアが緊張緩和を履行していないことはさらなる代償を伴う」と非難した。
ハーフ氏は、「ロシアは戦車がウクライナ軍から奪われたものだと主張するだろうが、同軍は(越境)地域に戦車部隊を展開していない。ロシアから来たことは確実だ」と強調した。
これに対し、ロシア側は13日、逆に、ウクライナ軍の装甲車が国境を越えてロシア領に侵入したと主張。露国境警備当局が同日、ウクライナの装甲輸送車を露南部ロストフ州で発見したという。さらに露外務省は、ウクライナ政府にあてた書簡で、「こうした挑発行為は、ようやく再開したばかりの2国間対話の進展を困難にさせる」と指摘し、軍部隊の不法越境をやめるよう要求した。