
【ロンドン=内藤泰朗、ベルリン=宮下日出男】5月の欧州連合(EU、本部ブリュッセル)欧州議会選を受けて始まった欧州委員長の後任選びで、欧州統合推進派のユンケル前ルクセンブルク首相が最有力候補に浮上していることに、統合懐疑派が伸長する英国のキャメロン首相が激しく反発している。
9日にはドイツ、英国、オランダ、スウェーデンの4カ国首脳がストックホルム近郊で首脳会議を開き、欧州委員長の後任問題などについて協議。EUの行政執行機関である欧州委員会のトップは欧州統合の方向性に関わる職務だけに、欧州各国で今後、議論が活発化するとみられる。
ユンケル氏は、欧州議会最大勢力の中道右派、欧州人民民主党が先の欧州議会選で委員長候補に擁立していた。バローゾ現委員長は10月末で任期満了となる。
英BBC放送などによると、キャメロン氏は5日、訪問先のブリュッセルで会談したメルケル独首相に、ユンケル氏の欧州委員長就任は「絶対に受け入れられない」と迫った。これに対し、メルケル氏はユンケル氏を支持すると明言。ただ、「反対派の意見は聞かなければならない」とも述べ、時間をかけて調整する考えを示した。
キャメロン氏は先月27日のEU非公式首脳会議では、ユンケル氏が欧州委員長に選出された場合、英国がEUを離脱する可能性にも言及している。
英国は欧州議会選で、EU離脱を訴える英独立党(UKIP)が最大議席を獲得。「なぜブリュッセルが英国の内政にまで介入するのか」「EUは独裁機関になりつつある」といった主張が共感を呼びつつある。こうした中で、キャメロン政権は来年行われる総選挙で連立与党が弱体化する不安を抱えている。
EU加盟国では英国のほかにも、スウェーデンやハンガリー、オランダなどの指導者が統合推進に反対姿勢を示している。
さらに、欧州議会選で極右政党の国民戦線が伸長したフランスでも、EU懐疑派の声が強くなっており、欧州委員長の後任をめぐる議論の行方に影響を与えそうだ。