
注目の進退は、「来季を休養」という形での事実上の先送りで、いったん落ち着いた。「一日一日を精いっぱいやってきた」という達成感の中での休養宣言だった。
浅田は昨年4月にソチ五輪シーズン限りでの引退を示唆。このとき、「ファンにもそういう中で一緒に応援してもらえればうれしい」と語っていた。“ラストダンス”へカウントダウンをファンとともに-。そんな思いで五輪まで戦った。
「集大成」として臨んだ今季だったが、腰痛に苦しんだ。さらに「体が疲れやすくなった」と酷使してきた肉体は悲鳴を上げつつあった。この日の会見でも「試合でたくさんの重圧があったし、練習でもすごく集中して心にも体にも負担になっていた。休みが必要と感じた」と打ち明けた。ソチ五輪は6位に終わったが、3月の世界選手権はショートプログラム(SP)で世界歴代最高得点をマークして優勝するなど、実力的な衰えは見えない。
実際、2010年バンクーバー五輪で金メダルを獲得し、休養を挟んで復帰してソチ五輪で銀メダルを手にしたライバルの金妍児(韓国)をはじめ、世界のトップ選手の多くも休養をうまく活用して調整している。
立ち止まることなく走り続けた23歳はまずは大学に復学し「やるべきことをやっていく」と話す。その先にある決断が復帰でも、引退でも、視野を広げる有意義な充電期間になることを、ファンも望んでいるはずだ。(田中充)