
ああ、失敗した。昨季日本一の楽天は30日の西武戦(西武ドーム)で7-1と完勝し、2009年以来の開幕カード3連勝。昨季の2位チームに35年ぶりの3タテの屈辱を味わわせたが、球団内からは「惜しいタイミングを逃した」という嘆きの声が。注目のゴールデンルーキー、松井裕樹投手(18)=桐光学園高=のデビュー戦は4月2日のオリックス戦(コボスタ宮城)に決まっているが、ここまでの西武のあまりの状態の悪さに「所沢で投げさせればよかった」と悔やんでいるのだ。 (片岡将)
5年ぶりの開幕3連勝。試合後、球団スタッフが報道陣にまでハイタッチを求めたハイテンションぶりが、ムードの良さを物語っていた。
1回に相手の失策とボークなどで2死二、三塁の好機から、5番・ユーキリス(前ヤンキース)が中前に2点適時打。3-1とリードした7回1死一、二塁では、主砲のジョーンズが左翼線を破り追加点を奪うなど中軸が機能。課題の救援陣も無失点と投打のかみ合った、盤石の勝利だ。
それだけに星野監督はエビス顔。「最初の点が効いたな。エラーもあったし昨日、今日と相手にこたえる点の取り方だよ。先制すると(相手の)気持ちが多少萎えるやろう。3連勝なんて考えられないね。しかも敵地で」とまな弟子たちをたたえると、今季から選手会長を務める藤田も「どうなるかと思ったけど、何とか耐えられた。ここで3連勝はデカイっすよ」とニンマリ。最高のムードで、仙台での本拠地開幕戦に臨むことになった。
だが、快勝に沸くチームの中で「あちゃー…」と顔をしかめる球団関係者の姿が。
「興行的には本拠地デビューで正解なのだろうが、まさかここまで西武の状態が悪いとは思わなかった。何が何でも勝たせたいなら、初登板の相手は西武の方がよかったんじゃないか…」
本拠地開幕カードの2戦目、4月2日のオリックス戦で先発デビューする予定の松井裕のことだ。
黄金ルーキーの初舞台を初勝利で飾らせるために、星野監督は並々ならぬ闘志を燃やしている。「どんな汚い手を使ってでも松井に1勝させる。それがわれわれの使命だ」と気合十分なのだ。
その言葉通り、闘将は松井裕の初勝利に向け万全を期してきた。
敵地でのマウンドより、本拠地で投げる方が本人にはベストと、デビュー戦の舞台をコボスタ宮城に決定。26日の日本製紙石巻との練習試合では、球場を当初の2軍練習施設からコボスタ宮城に移し、開始時間も本番と同じ午後2時に変更。ルーキーの予行演習のためだった。
だが、そんな思惑をも上回り「失敗した…」と嘆かせたのが、西武のチーム状態の悪さだ。
主砲として期待していた中村が左脇腹のけがで開幕2軍スタート。5番打者として期待していた坂田も練習中に左肩を脱臼し長期離脱に。伊原監督が描いていた理想的な打線とは大きく様変わりしてしまった。開幕直前には2軍でインフルエンザが大流行するなど、まさに踏んだり蹴ったりのチーム状況だ。
そんな影響を受けてか、この日の西武打線は楽天投手陣にわずか3安打に抑え込まれた。チームの開幕3連敗は79年以来35年ぶり。最悪の事態に陥っている。
一方、松井裕が対決するオリックスは、日本ハムとの開幕カードを1勝2敗と負け越したが、糸井、ペーニャの3、4番コンビが好調。関係者は「一発のある打者がそろっているオリックスは、今の西武よりも怖いことは間違いない」と警戒を強めている。それだけに「西武戦で投げさせておけば…」と悔やむわけだ。
手負いの獅子をたたいて最高のスタートを切った前年王者。だが、期待の新人の初白星デビューのためには、絶好のチャンスを逃したかもしれない。