
株式会社DeNA(守安功社長)は3日、子会社を通じて遺伝子検査サービスに7月末から乗り出すと発表した。東大医科学研究所(医科研、清野宏所長)との協力の下、倫理的法的社会的課題(ELSI)に配慮した検査サービスを、インターネットなどを通じて提供。検査の利用者などに生活習慣の改善を働き掛けるサービスも検討しており、事業を通じて健康寿命の延伸を目指すという。【佐藤貴彦】
DeNAは7月7日付でヘルスケア事業を分割し、4月に立ち上げた100%子会社「DeNAライフサイエンス」(深澤優壽社長)に、承継させる。同社の遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」では、インターネットを通じて申し込んだ利用者に検査キットを郵送。返送された検体を自社で解析し、ウェブや対面で結果を伝える。
医科研は昨年度から、文部科学省の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の枠組みの中で、日本人のヘルスビッグデータと、同データを倫理面に配慮して活用するためのシステムについて研究している。医科研はDeNAと協力することで、研究成果を社会に還元。また、解析結果を通知する際などの課題を同社から吸い上げ、ELSIに配慮したシステムを構築するための検討に役立てる。
同日にDeNAと医科研が開いた発表会で、南場智子DeNA取締役は、家族を看護した経験がヘルスケア事業に参入を考えるきっかけとなったことを明かし、「何で病気にしたのかとか、事前に知るすべはなかったのかとか、何かヒントはなかったのかという思いが非常に強い。少しでも多くの人に問題解決の道を提供したい」と意気込みを述べた。また、生活習慣の改善などを利用者に促す仕組みに、同社のソーシャルゲーム事業などでのノウハウを生かす考えを示した。
清野所長は、「これまでの遺伝子検査ビジネスには、さまざまな課題がある。科学的根拠の不足した検査の販売、ずさんな同意取得過程など、非常に残念だ」と批判。その上で、「貴重な遺伝情報を基盤とした健康長寿社会の構築に向けて歩んでいかなければならない」と述べ、DeNAとの協力により、国内の遺伝子検査の体制を改善させる意欲を示した。