
おじさんやおばさんたち、とりわけ“団塊の世代”に見てほしいと、昭和の俳人・劇作家、久保田万太郎の芝居ばかりを上演し続ける「みつわ会」。その第17回公演『弥太五郎源七』と『一周忌』が18日から23日まで、東京・品川の六行会ホールで上演される。
「みつわ会」は、平和の「和」と和風の「和」と仲良しの「輪」の3つの「わ」をくんでと、歌舞伎俳優の十三世片岡仁左衛門さんにより命名された演劇集団。久保田万太郎は、下町生まれで1937年の文学座設立にも関わった。下町情緒を通して、周囲に左右されない人間本来の生命力を全うしようとする庶民の生き方を終生のテーマとした。
『弥太五郎-』は、落ちぶれた侠客(きょうかく)の最後のあがきを、『一周忌』は、栄枯盛衰のさまに揺れる男女の日常を描く。高校生の時に万太郎の芝居を見て、この世界へ入ったという新派文芸部の大場正昭さん(64)が演出する。
「どちらに登場する人物もかっこいい生き方はしていない。むしろ、滅びの道筋。失敗も無理も承知の上で、律義やあくせくした行動を拒否する。退廃的だけれど人間としてある意味、高等な生き方ではないか。滅びの世界に希望があるとはいえないが、万太郎が紡ぎだす人間模様からは、“そんなもんだろう、人生って”とでもいえる豊かさが感じとれます」
大場さんも1950(昭和25)年生まれの団塊末期の世代。「余裕もなく趣味や冒険も忘れ、ただ働き続けてきた団塊の企業戦士たちにこそ、少し前までのかつての日本には、滅びも承知で生を楽しんだ気骨ある人間がいたことを思い出してほしいのです」
全席自由で料金4800円。問い合わせは「みつわ会」(電)03・5461・1518。