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2026.04.06|コメント(-)トラックバック(-)

少子高齢社会に向き合う 被災地で地域医療改革へ「やまと在宅診療所」


 ■IT活用、東京と地方結ぶ

 「医師も新しい価値を創造できる。ここから日本の医療を変えていきたい」

 昨年4月、宮城県登米市迫(はさま)町に「やまと在宅診療所・登米」を開いた医師、田上(たのうえ)佑輔さん(33)は、こう話す。

 東日本大震災で震度6強の地震に見舞われた同市。高齢化率は全国平均を上回り、県内でも特に医師の数は少ない。新しい診療所の開設は8年ぶりだ。

 田上さんは震災直後の平成23年3月18日から気仙沼市内で緊急医療支援に入った。当時は東大病院の腫瘍外科医。緊急支援後も東京での病院勤務の傍ら、炊き出しボランティアを続けた。

 ◆両立可能な勤務

 医師不足の現状を目の当たりにした田上さん。「目の前に困っている人がいたら助けたい」「求められたことに応えたい」

 将来の日本の医療を考える若手医師の勉強会を主宰していたこともあり、同年9月からは市立登米市民病院や気仙沼市内の病院に若手医師を交代で送り込み、週末の当直を担うプロジェクトを実施した。

 キャリア形成のため、若手医師は都心の大病院での勤務が多い。どうしたら地方の医師不足を解決できるのか-。

 導きだした結論が、IT(情報技術)を活用し、東京と地方を結ぶ「循環型医療」。地域での診療と大学での研究や政策提言など、診療とキャリア形成の両立可能な勤務態勢をつくり、若手もモチベーションを維持しやすい職場を目指している。

 志を同じくする同窓の医師、安井佑さん(33)と協力。安井さんは昨年4月、東京都板橋区に「やまと在宅診療所・高島平」を開設し、両医師は両診療所で交互に勤務し、毎朝午前9時から開かれるウェブ会議で情報を共有する。

 「もともと医療の効率化や医師の働き方、ITによる遠隔地支援にも関心があった。医療関係者のマンパワーだけでなく、ITや地域、家族を含めなどさまざまな力を使わないと地域医療はだめになる」(田上さん)

 ◆半径16キロ訪問診療

 平日の登米市の診療所では、医師、看護師、医療アシスタントの3人が軽乗用車に乗り込み、半径16キロの訪問診療圏で1日平均約10軒を訪問し、治療に当たる。疾患別割合は、脳卒中(24%)、認知症(16%)、骨粗鬆(こつそしょう)症による腰椎圧迫骨折などの整形疾患(9%)、がん(7%)…。多くは近隣の病院から紹介された退院患者で、自宅での看取(みと)りも行う。

 終末期も住み慣れた自宅で自分らしい暮らしを続ける「地域包括ケア」。診療所と介護事業所が個々に患者の情報を抱え込むのではなく、患者、家族、医師、介護スタッフらが1つのチームとして情報を共有して判断する態勢づくりに心を砕く。

 昨年12月、心不全で約1カ月入院し、要介護5のほぼ寝たきり状態になった斉藤みつ子さん(92)。自宅で1日2時間の訪問介護サービス、週1回の訪問入浴などを利用する。田上さんの診療は2週間に1度。担当ケアマネジャー、高橋敦子さん(56)は診療時間に合わせて訪問し、情報交換する。高橋さんは「本人を前に(主治医の)先生と話ができるのでケアプランを立てやすく助かっている。(主治医がいる)病院や診療所を訪ねて情報交換をするのはなかなか難しいから」と在宅診療のメリットを挙げる。

 登米市民病院の石井宗彦院長(66)も「これからは病院・施設よりも在宅診療の時代」。登米市の診療所は患者側のニーズとも合致し、既に約110人の患者を担当、当初3人だったスタッフは2月末までに9人に増えた。「今までの仕事で一番やりがいがある」(24歳女性スタッフ)など、前向きで開放的な雰囲気にあふれる。

 田上さんらは「やまと在宅診療所」のシステムを全国に広げたいと考えている。医療事務を一括して登米で行うことで地域の雇用創出にも役立つはずだ。

 診療所の開設から間もなく1年。未曽有の少子高齢社会に向き合う地域医療改革の種が東日本大震災の被災地でまかれている。(村島有紀)

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2014.03.14|コメント(-)トラックバック(-)
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