
今回の医療・介護制度改正の一括法案では、医師を頂点にしたヒエラルキーを壊すことができず、本来目指すべきチーム医療ではなく“グループ医療”にとどまってしまう-。医師であり、みんなの党の薬師寺道代参院議員はキャリアブレインの取材に対し、このように力を込めた。薬師寺議員は自らのライフワークを「看護師と医師との中間職種の創設」と語り、一括法案に盛り込まれた看護師による特定行為のための研修制度の創設に異議を唱えている。【丸山紀一朗】
「今回の一括法案の中身は、業界団体との綱引きの中でだんだんと変わっていってしまい、いい中間職種を創設しようとしていた最初のころに思い描いていたゴールとは全く違う出口が用意されてしまったので、全く納得していない」
薬師寺議員が主張するのは、看護教育と医学教育は異なるため、看護師がさらに高度な看護教育を受けたとしても医行為ができるわけではないということだ。
「看護教育を受けた人が、それにプラスして医学教育を受けた上で医行為をやってもらう。ここに意味がある」(薬師寺議員)として、このような人材がチーム医療の核になるべきだという。しかし現状で医師以外の医療従事者が医行為を行うには「医師の指示」の下という条件が外せず、薬師寺議員が理想とするフラットな関係性のチームとは遠いのが実情だ。
■病床機能報告制度、「生ぬるい」
地方分権を訴えてきたみんなの党は、地域主体で自らのエリアの医療や介護の必要量や連携の仕方を考えていくべきとしており、地域包括ケアシステムを構築する政府の方向性とは近いものがある。しかし、一括法案で創設される病床機能報告制度について、薬師寺議員は「生ぬるい」と指摘する。
「本来、“報告”だけでは意味がなく、予算をすべて都道府県に渡すべき。より突き詰めて、『この地域ではどういう病床がどのくらい必要で、どこのベッドを何床削減しなければいけない。さらにどこかの病院をつぶさなければいけない』ということもあり得る。そこまで作りこんだ制度でないと役に立たない」
薬師寺議員はさらに、医師の自由開業体制やフリーアクセスが可能な現状をそのままにしていては医療の大改革はできず、「ある程度の縛りを掛けないといけない」と主張。ゲートキーパー役の「家庭医」がプライマリーケアを担い、その上で地域に必要な病院や専門医の数を考える必要があるという。
薬師寺議員は、「地域の人々が望むような医療を確立するには、一番痛いところ、つまり業界団体に手を突っ込まないといけない」と強調。その上で、「これまで業界団体の意見で成り立ってきたが、もはや診療報酬や介護報酬で誘導できないのであれば、業界団体の声ではなく、国民のために何が真に必要なのかをゼロベースで考えるべき」と述べた。
一括法案は参院厚生労働員会で審議中で、薬師寺議員も5日、質問に立つ。