グリーンブライヤークラシックでアルゼンチン出身のアンヘル・カブレラが見事な逆転優勝を飾った。44歳による優勝は今季の米ツアーの最年長記録となった。
2013年マスターズでのアダム・スコットとのエピソードは賞賛を浴びた
最終日を首位に2打差の2位で迎えたカブレラは後半で首位に浮上。13番のイーグルで2位との差を3打へ広げたが、直後に2連続ボギーを喫した。しかし、2位との差がわずか1打しかなくなった苦しい状況下、上がり3ホールの攻めっぷりは圧巻だった。それは、まさしく「カブレラのゴルフ」だった。
カブレラを眺めていて、いつも感じることがある。彼は何に対しても割り切りがいい。いや、割り切りというよりも「白か、黒か」「イエスか、ノーか」「1か、100か」という具合に、スパッと答えを出そうとする。その姿勢は、きっと彼の人生の歩みの中から生まれ出たものなのだと思う。
幼いころ、母国アルゼンチンのゴルフクラブでキャディとして働いていたら、そのクラブのメンバーだったプロゴルファーのエドアルド・ロメロからゴルフをやれと勧められた。「やるか、やらないか」。人生やキャリアの分岐点は常に2者択一の決断を求められる。2つに1つの賭け。カブレラは「やる」を選び、15歳でゴルフクラブを初めて握った。それから5年間、血の滲むような必死の練習を積み、20歳でプロゴルファーになった。
これまで米ツアーでは07年全米オープンと09年マスターズの2勝のみ。いや、彼の強さで「たった2勝」と感じるからこそ「2勝のみ」とついつい書いてしまうのだが、その2勝は「メジャーのみ」なわけだから、「メジャー2勝もしている」と書くべきなのかもしれない。そんな彼の極端な戦績さえもがカブレラらしさの象徴に思える。
昨年のマスターズでは最終日も首位を走り、2着目のグリーンジャケットに袖を通しかけていた。前年11月に孫が生まれていたカブレラは、マスターズ史上初の「おじいちゃん優勝」に王手をかけていた。アダム・スコットとのプレーオフにもつれ込み、勝利をさらわれてしまったが、敗北が決まったその瞬間から爽やかな笑顔を見せ、スコットの肩を抱きながら勝利を讃えたカブレラのグッドルーザーぶりは人々の心を打った。
「与え、奪う。それがゴルフだ」
つたない英語でそう言ったカブレラの言葉は、あのときから忘れがたきフレーズとなって私の胸に刻まれている。
与え、奪う――言い得て妙だ。常に2者択一の賭けをしながら豪快に生きてきたカブレラは、メジャー2勝を得たものの、米ツアーではそれ以上は勝てず、世界30勝を挙げたものの、09年マスターズ以後は主要なツアーでの勝利から遠ざかり、天の神様から「与えられたもの」と「奪われたもの」がはっきり二分されたような戦績だった。
今季も成績は振るわず、フェデックスカップ158位という位置で今大会にやってきた。11番と12番でバーディ、13番は175ヤードからの第2打をカップに沈めてチップインイーグルを奪い、2位との差を広げた。その直後に2連続ボギーでスコアを落としたが、快走する姿も躓いた姿も、どちらもカブレラらしい一途なゴルフだった。
だが、2位との差が1打に縮まりながらも16番でドライバーを握り、パー5の17番では336ヤードもかっ飛ばして2オンに成功し、バーディーを奪ったアグレッシブな彼の攻め方は「勝つか負けるか、二つに一つ。与え、奪う。それがゴルフだ」と叫んでいるかのようだった。
日本では石川遼が2年ぶりの勝利を飾ったばかり。そう言えば石川は、先月の全米オープン地区予選に挑んだ際、その前日に米ツアー初優勝を挙げた松山英樹の勝ち方を振り返りながら「常に完璧を追求し、決めどころで絶対にバーディを取るつもりで何も恐れずに打つ」という向上心や勇気を、松山の勝ち方を見て教わったのだと話していた。石川の優勝は、それを実行できたからこその勝利だったように思う。
その石川も、以前、こんな言葉を口にしていた。「運と不運は五分五分だと思う」。カブレラの「与え、奪う」と、どこか似ている。そっくりな信条を抱く2人が日米でどちらも久しぶりの勝利を挙げたことは、とてもうれしく、ちょっぴり不思議な偶然だった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>
7月7日(月)第3ステージ:ケンブリッジ~ロンドン(155km)
<残り30km>
やや小雨が落ちてくる中、レースは残り47km、エピング・フォレストの中間スプリントを通過。先頭2人からはジャンマルク・ビドー(ブルターニュ・セシュ)が加速し、ヤン・バルタ(NetAppエンデューラ)を抑えて先頭通過した。
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メイン集団では3位通過のポイントをかけて、ユーロップカーとキャノンデールが争った。ユーロップカーは新城幸也が先頭に立ってトレインを作り、ブライアン・コカールが3位を勝ち取った。4位はマイヨベールのペーター・サガン(キャノンデール)。
通過順位は以下の通り。
中間スプリント:エッピング・フォレスト
1.ジャンマルク・ビドー(ブルターニュ・セシュ)20ポイント
2.ヤン・バルタ(NetAppエンデューラ)17
3.ブライアン・コカール(ユーロップカー)15
4.ペーター・サガン(キャノンデール)13
5.エリア・ビビアーニ(キャノンデール)11
6.アルノー・デマール(FDJ)10
7.グレッグ・バンアーベルマート(BMC)9
8.アレクサンドル・ピショ(ユーロップカー)8
9.ファビオ・サバティーニ(キャノンデール)7
10.ケビン・レザ(ユーロップカー)6
11.マチェイ・ボドナール(キャノンデール)5
12.ジョバンニ・ビスコンティ(モビスター)4
13.ダニエーレ・ベンナーティ(ティンコフ・サクソ)3
14.セルジオ・パウリーニョ(ティンコフ・サクソ)2
15.ジェレミー・ロワ(FDJ)1
先頭2人とメイン集団のタイム差は一時約1分まで縮まったが、残り30kmで2分まで広がった。
ロンドンのゴールでは、集団スプリントが予想される。マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)が不在の中、マルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ)が再び勝利を挙げるのか、他のスプリンターが台頭するのか目が離せない。
国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会は7日、ブラジル代表DFチアゴ・シウバが準々決勝コロンビア戦で受けた警告は無効だとするブラジルサッカー連盟(CBF)の申し立てを棄却したことを明らかにした。これにより、8日に行われる準決勝ドイツ戦でチアゴ・シウバが出場停止となることが正式に確定した。
チアゴ・シウバはコロンビア戦でGKダビド・オスピナがパントキックを行った際、ボールとオスピナの間に体を入れてキックを妨害。こぼれ球をゴールに蹴り込んだが、得点は認められず、イエローカードが提示された。これが累積2枚目の警告で、準決勝の出場停止処分が下された。
試合後、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督は「キーパーがボールを離した直後にボールを奪っただけ。なぜあれが警告に値するのか」と、『TV Globo』のインタビューを通じて疑問を呈し、CBFは6日、正式にFIFAに対して警告の取り消しを求めたが、FIFAの規律委員会は「警告の取り消しを検討するだけの十分な根拠がない」として認めなかった。