
中国中央政府・国務院新聞弁公室(報道事務室)は10日「香港特別行政区における『一国二制度』の実践」と題する白書を発表した。同白書は、150年以上にわたり英国の植民地統治を受けていた香港は1997年に中国に戻ってきて以来、民主的政治制度が順を追って安定して発展してきたと主張した。ただし香港では、「近年になり中国の圧力が増大している」とみなす人も多くなったという現実がある。香港では言論の自由が保障されているはずだが、中国人の民主活動家の入国が拒否される事態も、しばしば発生している。
民主制度発展の原動力は、中国中央政府と香港特別区行政府が香港基本法と全国人民代表大会(全人代)常務委員会の関連決定事項を順守したこととの考えを示した。
返還前の香港は、英国から派遣された総督が150年間にわたり植民地統治を行っていたと主張。香港は中国に戻ってから、現地人による特別行政区政府と立法機関が組織され、行政長官は現地で選挙または協議で選ばれるようになったと解説した。
香港基本法に、行政長官と議員は最終的に、すべてが普通選挙で選ばれることにすると書かれていることにも触れ、普通選挙の全面的実施を「法で定められた目標」と紹介した。
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◆解説◆
英国は19世紀半ばごろから、アヘン戦争やアロー戦争に勝利した結果、清国領だった香港を得た。香港島、九龍半島南部については「永久割譲」する条約が結ばれたが、深セン河以南、界限街以北の九龍半島、235の島(新界)については、1898年から99年間の期限付き租借となった。
租借地部分の期限終了が近づいた1980年代になると、中英両国は「香港の将来」で合意することが必要になった。英国のマーガレット・サッチャー首相は1982年9月に北京を訪れ、中国の指導者だったトウ小平と会談。中英による香港についての初めての公式協議だった。
サッチャー首相は当初、1997年以降も英国の香港統治を継続する考えだったとされる。トウ小平は「1997年をもってすべてを返還」と主張。英国が応じない場合には「いかなる手段にも訴える」と高圧的に論じたとされる。
サッチャー首相はトウ小平の想定外の強硬主張に驚き、条件を飲む以外にないと判断したとされる。また、アルゼンチンの進攻で トウ-サッチャー会談同年の3月に発生したばかりだったフォークランド戦争に際して、サッチャー首相が「いかなる領土問題も、話し合いにもとづかない限り、絶対に受け入れられない」などと発言していたことで、「中国の要求に応じず、事態が紛糾した場合、英国は国際的に大きな非難を浴びる」との考えもあったとの見方がある。
両国の協議の結果、中国は返還後、香港の資本主義体制を50年間、つまり2047年までは変更しないことを約束し、英国も了承した。しかし、香港では2012年ごろから、「資本主義を廃止しないとする、中国の約束の期限が35年を切った」として「その後の香港」に不安を持つ人が増え始めた。香港では言論の自由が保障されているはずだが、中国人民主活動家が入国を拒否されるなどがしばしば発生している。
また、近年になり「中国の圧力が増大している」とみなす人も多くなった。2014年3月に台湾で発生した中国大陸側とのサービス貿易協定反対の運動では、台湾まで応援に駆けた香港人が「香港は死んだ。台湾人は香港人の屍(しかばね)を乗り越えてほしい」などとするプラカードを掲げる様子も見られた。
中国側は、香港に適用した「一国二制度」と同じ方法での統一を、台湾に呼び掛けている。台湾側は相手にしていない。「台湾は中国の一部」と主張する国民党も、中国共産党主導による統一は受け入れない考えだ。(編集担当:如月隼人)
兵庫県立リハビリテーション中央病院は近く、子ども用の筋電義手を低価格で貸し出す新たな事業を始める。16日に同病院のロボットリハビリテーションセンターに、そのための「筋電義手バンク」を設立。東大医学部附属病院と連携し、子ども用の筋電義手の普及を図る。県によると、筋電義手のバンクの設立は全国初という。【真田悠司】
筋電義手は、筋肉を動かす際に発生する微量の電流を利用したもので、腕を失った人でも自分の思い通りに動かすことができる。義手は約150万円と高額だが、国の補助金を利用すると、3万7200円の自己負担額で購入できる。
だが、国の制度では、訓練のスタート時に財政支援を受けることができない。また、義手を使いこなすまでには、平均して3年ほどの訓練が必要だと言われており、子どもの場合は成長に合わせて交換する必要があるため、個人で負担し続けることは難しいという現状がある。
リハビリテーション中央病院はこれまで、義手の使い方をマスターするまでの間、病院側が購入した義手を無償で患者に貸し出していたが、29台と数が限られていることなどから、定期的に通院しやすい近隣の患者を優先して、遠方の患者などを断るケースもあったという。
同バンクは今後、不要になった義手や、義手を購入するための寄付金を募る。県は3000万円を上限に、集まった寄付金と同額を助成し、同バンクでは2年間で40台の義手を購入することを目指す。集まった義手は、1か月当たり1台1000円で貸し出すとしている。
間伐材を地域通貨で買い取り、商品に加工して販売する流通システム「木の駅プロジェクト」が、高島市朽木(くつき)地区で始動した。木材価格の低迷などに伴い、荒廃が進む森林の活性化を図る全国的な試み。同地区のプロジェクトでは、集めた間伐材を薪(まき)にして今冬にも販売を始める計画で、「燃料の地産地消」を目指す。
木の駅プロジェクトは、岐阜県のNPO法人が全国に先駆けて始めた山間地域再生の試みで、各地に広がっている。朽木地区でも、木材価格の低迷を受け、山林所有者が間伐をしなかったり間伐をしても切り倒した木材を搬出せず放置したりするなど、手入れの行き届かない森林が増加。昨年の台風18号襲来時は、これらが流されて山林が荒れる原因にもなった。
こうした状況を打開しようと、同市森林組合や一般社団法人「市民エネルギーたかしま」がプロジェクトの実行委員会を設立。同市朽木地子原にある組合管理の木材置き場内に「木の駅」を設け、間伐材を持ち込んだ人に対し、実行委が1立方メートル当たり5千円分の地域通貨「やまびこ券」を発行し、買い取る。これを「市民エネルギーたかしま」が薪に加工し、販売する。やまびこ券は、地元のプロジェクト協力店舗で使用できる。
木の駅開設初日の今月7日には、スギの丸太が軽トラック10台分集まった。順次、薪として使えるサイズに割って乾燥させている。
薪の販売先は、主に薪ストーブを利用している地区内の家庭を想定。住民らは市外から薪を調達しているとみられることから、燃料の地産地消を“売り”に地区内への販売を進めていく。また、近くの温浴施設への販売も検討。合わせて500万円以上の売り上げを目標にしている。
小林二郎・木の駅プロジェクト実行委員長は「山の手入れと地域の活性化が期待でき、高騰する化石燃料費の削減にもつながる。間伐材の回収方法など検討すべき点はあるが、長続きするよう取り組みたい」と話している。