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ブーイングも…セレソンから消えた「フッチボウ・アルチ」 - にゅーすめぢから

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2025.08.07|コメント(-)トラックバック(-)

ブーイングも…セレソンから消えた「フッチボウ・アルチ」


【日刊ゲンダイ本紙コラム「王国インサイドリポート」】

 フェリポン(スコラリ監督の愛称)らしい、面白みのないブラジル代表がコロンビア代表を力技で押し切ったというところだろうか――。ブラジルは前半から中盤を支配し、コロンビアに攻撃の機会を与えなかった。地元の歓声の後押しもあり、ある時点までは危なげのない試合だったと言える。

 ただし――。W杯のような高いレベルになると、得点を決めるのは攻撃の選手の卓越した閃きによることが多い。ブラジルは試合を支配しながら、前線の選手にその閃きがなかった。

 1点目はCKからチアゴ・シウバが辛うじて足に当てたもの。2点目はダビド・ルイスの直接FK。2得点ともディフェンダーによる得点であったのは偶然ではない。

 試合はブラジル人が愛する、フッチボウ・アルチ(芸術サッカー)には程遠いものだった。

 フッチボウ・アルチあるいは、ジョーゴ・ボニート(ビューティフルゲーム)とは、ブラジル人がしばしば口にする言葉である。華麗にパスをつなぎ、速攻性を生かし、観客が思わず声を上げるような美しい形でゴールを挙げることを指す。70年大会、ペレのいたブラジル代表はフッチボウ・アルチを体現したサッカーで優勝した。

 しかし、攻撃的なサッカーはどうしても不安定になりがちだ。次にブラジルが優勝したのは、フッチボウ・アルチを完全に放棄した94年米国大会のことだった。元日本代表監督のジーコは82年、86年大会と美しいサッカーを標榜したチームで敗れたこともあっただろう。94年大会直後に話を聞いたとき、ジーコは守備的で面白くないと激しく批判した。

「あれを近代サッカーというのかい? あんなサッカーをテレビで見ていたら、ぼくは眠ってしまうだろうね」

 とはいえ、94年のFWロマーリオには、ブラジル人が愛するアルチの薫りがあった。

 一方、今大会の前線の選手、フレジとオスカルは存在感がなく、フッキは力任せ、頼みのネイマールは腰椎骨折で今大会は出場できなくなった。コロンビア戦の後半には、母国の選手に対するブーイングが増えた。

 次は最大の強敵、ドイツ――。94年大会以上に勝つことでしか愛されないセレソンは、この壁を乗り越えることが出来るのだろうか。

文・田崎健太(ノンフィクション作家)

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2014.07.05|コメント(-)トラックバック(-)
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