米大リーグの第85回オールスター戦が15日(日本時間16日)、ミネアポリスのターゲット・フィールドで行われた。ア・リーグの3年連続選出のダルビッシュは、前日14日の記者会見で「肘の故障が多いのは中4日の登板間隔が短すぎるから」と大リーグのスタンダードに異議を唱える発言をしたことが波紋を広げている。
ダルビッシュは球宴前日の会見で、各チームの先発投手が毎年のように肘を痛める現状について持論を展開した。ヤンキースの田中将大投手(25)の右肘内側側副靱帯の部分断裂が発言のきっかけだった。
球宴の会見で日本選手が大リーグの常識に異論を唱えたのは異例。大リーグでは全30球団が中4日の先発ローテだが、そこに日本プロ野球で主流の中6日を提言したのだ。
ダルビッシュは「(中4日は)絶対に短すぎる。140球投げても、中6日なら靱帯などの炎症は全部クリーンに取れる」とし、トミー・ジョン手術(靱帯修復手術)を余儀なくされる投手が続出する状況を「(球界首脳が)議論しなくてはいけない。自分たちに利益のあることはちゃんと話し合った方がいい」と主張した。
一見、唐突な発言のようだが、すでに米国内では同様の意見が数多く巻き起こっている。米ニューズデー紙は「6人ローテーションはトミー・ジョン手術の危機を救うか?」との見出しで記事を掲載している。
「中3日か、4日か、それとも5日がいいのかは野球が誕生してから続く議論だが、日本では6人ローテーションを守ることで多くの投手が健康な状態でいる。5人ローテはメジャーで長く定着してきたが、田中がDL入りした今、これを見直してみることもいいのではないか」としている。
ニューヨーク・タイムズ紙も「米国では多くの若者がプロのスカウトの目を引こうとドラフト前から95マイル(153キロ)の速球を投げている。これがメジャー入りしてすぐに手術を受ける傾向に拍車をかけている」と警告した。
また別の専門家は「メジャーで生き延びるため、全球を全力で投げようとする投手が増えた。体に負担のかからない球を交えて長いイニングを投げる技術を備えた投手が少ない」との声もある。
ダルビッシュの提言は米球界が抱えた問題と世論に呼応したものだったといえる。